耐火被覆工事で想定される主なトラブル・問題点
| 分類 | トラブル・問題内容 | 想定される影響・リスク |
|---|---|---|
| 1.被覆厚さの不足 | 吹付け・貼付けされた耐火被覆材が所定厚さに達していない | 耐火性能が基準を満たさず、法令違反・是正工事の原因になる。火災時に鉄骨が早期に変形する可能性。 |
| 2.被覆材の密着不良 | 下地との接着力が不十分、浮き・剥がれが発生 | 落下・剥離による耐火性の低下や美観の損失。工事後の補修費用・手間が増える。 |
| 3.湿度・温度条件不良 | 吹付け時の気象条件が不適切(高湿度・低温等) | 材料の乾燥不良・密着不良が発生し、施工品質が著しく低下。再施工が必要となる場合もある。 |
| 4.下地処理不良 | 鉄骨表面の清掃・脱脂・サビ除去が不十分 | 被覆材が密着せず、施工後に剥がれやすくなる。長期耐久性にも影響する。 |
| 5.材料選定ミス | 使用箇所に適さない耐火材を誤使用 | 耐火認定が取れず、建築基準法違反となる。現場全体に影響する重大な施工ミス。 |
| 6.施工ムラ | 吹付けの厚みが均一でなく、凹凸や未施工部がある | 検査で不合格となり、部分的に再施工が必要。見た目にも影響し、引き渡しに支障が出る。 |
| 7.安全管理不足 | 作業中の粉塵飛散、作業員の防護対策不備 | 吸引による健康被害・火災発生源・近隣への環境影響など、安全面でのトラブルに発展する可能性あり。 |
模範解答例 1-1-②(耐火被覆工事)
特に重点を置くべきと考える品質管理項目及びその品質管理項目について重点を置くべきと考える理由
品質管理項目
耐火被覆の厚さおよび密着状態の確認
理由
鉄骨構造の耐火性能を確保するためには、耐火被覆材が設計で定められた厚さで均一に施工され、かつ下地に確実に密着していることが不可欠である。厚さが不足したり密着が不十分な場合、火災時に鉄骨部材の温度上昇が早まり、構造の耐力が著しく低下するリスクがある。また、法令で定められた耐火性能を満たせないため、検査不合格や再施工の原因となり得る。
解説ポイント
- 「厚さ」+「密着性」の2点セットで品質が決まることを明確に
- リスクとして「構造耐力の低下」「法令違反」「是正工事」の3要素を入れると◎
- 「不可視部位だからこそ管理が重要」という視点も含んでいる
模範解答例 1-1-③(耐火被覆工事)
②の品質管理項目を管理していく上で実施すべき内容
施工時には、まず鉄骨表面の錆や油分を清掃・除去し、下地処理を確実に行った上で耐火被覆を施工する。吹付け作業では、材料メーカーの仕様書に基づき、適正な吹付量・厚み・距離を守りながら均一に仕上げる。施工完了後には、専用の針式ゲージなどを用いて厚さを複数箇所で測定し、記録として残す。また、密着状態については目視・打診により確認し、必要に応じて再施工を行う体制を整えている。
解説ポイント
- 「事前の下地処理」「施工中の方法管理」「施工後の測定・記録」と三段階で構成
- 使用機器(針式ゲージ)を明示すると実務感が出る
- 「メーカー仕様の遵守」「記録の保管」も評価対象になりやすい