
高力ボルト接合で想定される主なトラブル・問題点
| 分類 | トラブル・問題内容 | 想定される影響・リスク |
|---|---|---|
| 1.接合精度不良 | 所定の締付トルクが不足または過大になっている | 接合部が緩みやすくなり、構造安全性が低下。震動や荷重によるズレ・ガタつきが発生する。 |
| 2.締付け手順ミス | 規定された締付け順序を守らずに施工してしまう | 応力が偏り、部材が変形。構造バランスが崩れ、接合部の性能が保証されない。 |
| 3.工具管理不備 | 使用するトルクレンチや工具が未校正・精度不足 | トルク値が正しく管理されず、ボルトの締付けにばらつきが生じ、品質に大きな影響を与える。 |
| 4.部材取付ミス | ワッシャーやナットの向き・取り付け順序を誤る | 正常に力が伝わらず、ボルトの性能を発揮できない。施工ミスとして重大な欠陥になりうる。 |
| 5.材料取り違え | 規定とは異なる種類・サイズのボルトを誤って使用する | 規定強度が得られず、構造計算上の信頼性が失われる。重大な不適合となるおそれがある。 |
| 6.確認不足 | 締付け後のマークやチェック記録がされていない | 締付け確認が未実施と混在し、見落とし・重複作業・工程の混乱など品質・工程両面でのトラブルを招く。 |
| 7.気象条件対応不足 | 雨天・低温など不適切な条件下で作業を強行してしまう | すべりやトルク不良が発生しやすくなり、ボルトの締付精度が確保できない。施工中止判断の基準も重要。 |
模範解答例:問題1-1-②(高力ボルト接合)
特に重点を置くべきと考える品質管理項目及びその品質管理項目について重点を置くべきと考える理由
品質管理項目
所定トルクでの締付け確認
理由
高力ボルトは摩擦接合により鉄骨部材同士を固定するため、所定のトルクで適切に締付けることが必要不可欠である。トルクが不足すれば、接合部にガタつきや緩みが発生し、構造的な安定性を損なうおそれがある。逆に過大トルクとなれば、ボルトや部材の破損を招く危険性があるため、施工時にはトルク値の管理に特に重点を置く必要がある。
解説ポイント
- 「トルク不足」と「トルク過大」の両方のリスクに触れると説得力が増す
- 接合不良が「構造安全性に直接影響する」という重要性の強調
- 技術的用語(摩擦接合など)を使うと記述に深みが出る
模範解答例:問題1-1-③(高力ボルト接合)
②の品質管理項目を管理していく上で実施すべき内容
使用するトルクレンチについては、事前に校正証明書を確認した上で管理番号を記録し、毎日の始業点検を実施する。ボルト締付け作業では、施工管理基準に基づき、仮締めから本締めの順序、対角線締めなどの手順を遵守し、締付け後にはマークチョークで確認済みの識別を行う。作業後はチェックリストと写真による記録を保存し、品質の証明と工程管理に活用している。
解説ポイント
- 校正管理・手順管理・記録管理の3点をバランスよく盛り込む
- 作業中と作業後の両方の管理方法を明記することで現実的な記述に
- 「記録が残る=品質保証の一部」であることを意識させると好印象